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13.チームの総サラリーを計算する時には何が含まれますか?キャップルームとは?キャップホールドとは?

チームのキャップルーム(CBAでは単に「ルーム」と呼んでいる)とは、選手とフリーエージェント契約を結ぶことができる余地を指します。


チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合、選手との契約には例外条項を用いる必要があります。


チームサラリーがサラリーキャップを下回っている場合は、そのチームのルームはすべての選手のサラリーとキャップホールドを含めた上での空きということになります。


キャップホールドとは、契約することが予想される選手の分の「プレースホルダー」のことです。


例えば、あるチームは指名後まだ契約していない1巡目指名選手と契約することが予想されるため、キャップホールドという形でその契約のための金額を確保しておく必要があります。


例えばサラリーキャップを10M下回っているチームに、4Mのキャップホールドがある場合は6Mのルームがあるということになります。


サラリーキャップを5M下回っていて6Mのキャップホールドを持っているチームは、全くキャップが足りないとはみなされず、例外的に選手と契約しなければなりません。


以下がチームサラリーに含まれるものです。

  • 現役および非現役の全選手のサラリー*1(ボーナスを含む)。

  • シーズン途中のトレードで獲得した選手のフルシーズンのサラリー。

  • ウェイブされたプレーヤーに支払われた、または支払うサラリーからセットオフ*2の分を差し引いた金額と、ストレッチ条項(質問番号65番を参照)によって分割された金額。

  • 引退したプレーヤーに支払われているサラリー(質問番号61番を参照)。

  • 特定の苦情処理に関連して支払われる、または支払われることが予想される金額のキャップホールド。

  • 合意はしているが、まだ実行されていない契約(口頭での合意や身体検査中の合意など)のサラリーのキャップホールド*3

  • リナウンスされていない全てのフリーエージェント(質問番号37番を参照)の以前のサラリーの一定の倍率のキャップホールド。

  • 制限付きフリーエージェントへのオファーシートで提示されたサラリーのキャップホールド(質問番号42番を参照)。

  • 未契約のドラフト1巡目指名権の「スケール」の120%の金額のキャップホールド(質問番号50番を参照)。
    このホールドは、ドラフトで指名された直後からチームサラリーに含まれる*4
    このホールドは、シーズンが始まる前にチームと当該選手がそのシーズン中に契約しないことを書面で合意した場合、そのシーズンのチームサラリーから除外することができる。

  • チームの選手数(契約中の選手、チームサラリーに含まれるフリーエージェント、オファーシートを受けた選手、ドラフト1巡目指名選手)が12人に満たない場合、「ロスターチャージ」と呼ばれるキャップホールドが発生する*5
    ロスターチャージは12人に満たない人数分、ルーキーのミニマムサラリーが計上される。
    例えば、チームサラリーに含まれる選手が11人の場合は、ルーキーのミニマムサラリー1人分がチームサラリーに計上され*6、ロスターが0人の場合は、ルーキーのミニマムサラリーの12人分がチームサラリーに計上される。
    このホールドはオフシーズン中にのみ適用される。

  • チームサラリーがサラリーキャップを下回っている場合、チームが使用できるミッドレベル例外、バイアニュアル例外、Disabled Player例外(質問番号25番を参照)、トレード例外(質問番号87番を参照)の合計額のキャップホールド(質問番号26番を参照)。(チームはこれらの例外を放棄することができ、その場合はチームサラリーに含まれなくなる)。

  • 完了した契約(10日契約など)のサラリーは、そのシーズンのサラリーキャップの残りの期間(6月30日まで)のチーム給与に含まれる。

 

エプロン(質問番号20番を参照)時のチームサラリーの決定には、少し異なる計算方法を用います。


エプロンは、バイアニュアル例外、ノンタックスペイヤーミッドレベル例外、タックスペイヤーミッドレベル例外(質問番号25番を参照)、サインアンドトレード(質問番号92番を参照)のいずれかを行った場合に適用されます。


エプロンの際のチームサラリーは基本的に上記で定義されたチームサラリーを使用しますが、以下のような修正が加えられます。

  • 現在のCBAに基づいて締結された契約および延長における、全てのアンライクリーボーナス。

  • 特定の苦情処理の結果、チームサラリーに含まれる可能性のある金額。

  • フリーエージェント(ドラフト指名選手ではない)として契約したルーキーや2年目の選手で、サラリーが3年目の選手のミニマムサラリーを下回っている場合、実際のサラリーの代わりに3年目の選手のミニマムサラリーが使われます。

  • 自チームの制限付きフリーエージェントについては、未契約のクオリファイング・オファーまたは他チームからのオファーシートのサラリー(マッチする可能性がある場合、どちらもアンライクリーボーナスを含む)のうち、大きい方の金額を含む。

  • チームのドラフト指名選手との契約に必要な金額が含まれる(1巡目指名選手はルーキースケールサラリーの80%、2巡目指名選手はルーキーミニマムサラリー)。

  • ロスターの空いている枠(12人以下)に対するキャップホールドの金額*7

  • フリーエージェントのキャップホールドは除く。

  • ドラフト1巡目指名選手のキャップホールドは除く。

  • 未使用の例外に対するキャップホールドは除外される。

 

上記の内容は、バイアニュアル等例外やサイン&トレードがチームがハードキャップの対象となるかどうかに影響するからであり(質問番号20番を参照)、チームサラリーの計算を修正することで、対象のチームが必ずエプロンを下回るようにするためです。

 

以下のものはチームサラリーに含まれません。

  • シーズン途中のトレードで放出した選手のフルシーズンのサラリー。

  • 長期にわたる、あるいはキャリア終了レベルの怪我や病気で選手のサラリー(質問番号61番を参照)。

  • チームに所属する2way契約選手の給与(質問番号82番を参照)。

  • 未契約のドラフト1巡目指名選手が、NBA以外のチームと契約した場合の「スケール」サラリー。
    ルーキースケールは、NBAではないリーグと契約を結んだ日か、レギュラーシーズンの初日のどちらか遅い方にチームサラリーから除外される。
    翌年の7月1日か、または彼のNBA以外のチームとの契約が終了したときのどちらか早い方にスケールはチームサラリーに戻る。
    つまりこれらのキャップホールドは、レギュラーシーズン中に他のリーグでプレーする選手分のみ除外される。
    また、チームと選手の双方がそのシーズンにNBAチームと契約を結ばないことを書面で合意した場合、スケールはチームサラリーから除外される。

  • 2017年CBAより前のCBAのルーキースケール契約については、ルーキースケールサラリーを2017年CBAに合わせるための「適合増額」(質問番号47番を参照)の金額(適合増額の金額は、増額前の金額が現在のミニマムサラリーを下回る場合を除き、チームサラリーには現在のミニマムサラリーが適用される)。

  • サマー契約によるサラリー(質問番号70番を参照)。

  • エクスパンションドラフト(質問番号114番を参照)で指名され、シーズン開始前にエクスパンションチームによって解雇された選手のサラリー。

  • セットオフにより選手に支払われなかったサラリー(質問番号65番を参照)。

  • 特定の理由でリーグから出場停止処分を受けたプレーヤーに支払われなかったサラリーの50%は除外される。
    例えば10Mの選手が、シーズンのちょうど半分の期間リーグから出場停止処分を受けた場合5Mの損失となり、この50%である2.5Mは、エスクローやラグジュアリータックスを含む特定の計算から除外される。
    この時、他の選手との契約に使用できる新たなキャップルームが生まれることはない。

  • エグジビット10契約に含まれるボーナス(質問番号83番を参照)。

 

*1:NBAキャリア4年目以降で、ミニマムサラリーでの1年契約、10日契約、Rest-of-Season契約の選手については、実際のサラリーの代わりに、3年目のベテランのミニマムサラリーを使用する(質問番号22番を参照)。

*2:セットオフの金額はレギュラーシーズン終了後までチームサラリーから引かれないが、レギュラーシーズン最終日の分のサラリーから引かれる

*3:ジュライモラトリアムの期間中(質問番号105番を参照)、チームはほとんどのフリーエージェントと口頭または書面で契約を結ぶことはできない。
したがって、モラトリアム期間中に締結された契約は、交渉中という扱いになり、チームのサラリーにはカウントされない。

*4:スケールサラリーは、ドラフト指名が行われてすぐにチームサラリーに計上されるが、ルーキースケール契約を結ぶことができるシーズンのチームサラリーに計上される(例:2018年の指名選手なら、2018-19シーズンのサラリーには計上されるが2017-18シーズンのサラリーには計上されない)。

*5:複数年契約中の2way契約の選手はカウントされないが、2way契約を終えたフリーエージェントはカウントされる。

*6:チームは最低でも13人の選手をロスターに在籍させる必要があるため、ロスターチャージによって13人の選手と契約するためのキャップスペースが確保できる。例えば、11人の選手を登録しているチームは、13人目の選手と契約する余地を残しながら12人目の選手と契約することができる。

*7:ロスターチャージはエプロンの際にも含まれるが、エプロンの際計算しないキャップホールドの分は追加されない(例:契約下にある選手9人、フリーエージェントのキャップホールドが2人分、ロスターチャージが1つという場合にはロスターチャージは1つ)