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18.ラグジュアリータックスとは?何故存在するのですか?

ラグジュアリータックスは、チームの支出をコントロールするための仕組みです。

一般的には「ラグジュアリータックス」と呼ばれていますが、CBAでは単に「タックス」または「チームの支払い」と呼ばれています。

ラグジュアリータックスを支払うのは、高額の支出をするチーム、つまりチームサラリーがあらかじめ決められたタックスレベルを超えるチームです。

これらのチームは、チームサラリー(いくつかの例外を除く)がタックスレベルを超えるごとに、ペナルティを支払います。

タックスレベルはシーズン前に決定され、予想BRI(質問番号12を参照)の53.51%を使用し、予想される利益を差し引いて、リーグのチーム数で割って算出されます*1

タックスレベルは、前のシーズンに起こったことに基づいて調整することができます。

  • 前シーズン、リーグが選手に十分な報酬を支払っていなかった場合、つまり、保証をするために選手に追加の小切手を切らなければならなかった場合は、不足分をリーグのチーム数で割ったものをタックスレベルに加えます。
    例えば、2017-18シーズンの選手のサラリーが保証額よりも90M少なかった場合、2018-19シーズンのタックスレベルは3M上方修正されます。
  • 超過分があり(前シーズンに選手が保証分よりも多くエスクロー前に支払われていた場合)、リーグがエスクローシステムを通じて取り戻せる額を超えそうになっている場合は、ブレーキをかけるためにタックスレベル(およびサラリーキャップ)を引き下げることがあります(詳細は質問番号17を参照)。


チームは、レギュラーシーズン最終戦の時点でのチームサラリーと、そのチームが「リピーター」であるかどうか、つまり前の4シーズンのうち少なくとも3シーズン(直近のシーズンは含まない)でもタックスチームであったかどうかに基づいて、増額された税率を支払います。

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※以降5M増えるごとに税率は0.5M増える

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※以降5M増えるごとに税率は0.5M増える

 

例えば、以下のようになります。

  • タックスレベルを12M超えているチームは、21.25M(0M〜4.999999Mの区分の最大額が7.5M、5M〜9.999999Mの区分の最大額は8.75M、10M〜14.999999Mの区分は税率2.50Mで2M分なので5M、7.5+8.75+5)のタックスを支払います。

  • 前の4シーズンのうち3シーズンがタックスチームで、今シーズンのチームサラリーがタックスレベルを4M超えているチームは、10M(0M〜4.999999Mの区分は税率2.5Mで4M分で10M)のタックスを支払います。


リーグがチームのタックス額を決定する際には、レギュラーシーズン最終戦の日のチームサラリー(質問番号13を参照)を使用し(つまりシーズン終了前に選手がトレードで放出された場合は、そのサラリーは一切課税されない)、さらに以下の調整を行います。

 

  • キャップホールドや例外条項は無視される
  • 実際に獲得した「アンライクリーボーナス」(質問番号74を参照)は、チームサラリーに追加される
  • 獲得できなかった「ライクリーボーナス」(質問番号74を参照)は、チームのサラリーから差し引かれる
  • レギュラーシーズンの最終試合より後にトレードで受け取った選手のトレードボーナス(質問番号99を参照)は、チームサラリーに追加される。この金額は日割りで計算されることもある(詳細は質問番号100を参照)
  • 苦情処理のための和解金はチームサラリーに加算される
  • 現行のCBAでフリーエージェント(ドラフト指名ではない)として契約した選手で、サラリーが3年目の選手のミニマムサラリーに満たない場合、実際の年俸の代わりに3年目の選手のミニマムサラリーが使用される*2*3
  • サラリーの一部がリーグから支払われているミニマムサラリーの選手(質問番号22を参照)については、チームから実際に支払われた金額(3年目の選手のミニマムサラリー)のみが課税される

COVID-19に関連する収益の減少により、2020-21シーズンのタックスレベルは2019-20シーズンと同額(132.627M)に設定されました。

2021-22シーズン以降は、毎シーズン3%〜10%の上昇が保証されています。

2019-20シーズンからは、チームサラリーがタックスレベルをどの程度上回っているか(つまり、どの程度のタックスを負担しているか)を判断する式が調整されました。

タックスレベルを超えたチームの支払いは、そのシーズンの収入減に応じて減額されます(そのシーズンの実際のBRIと、そのシーズンのサラリーキャップを作成するために必要となるBRIとの比率で計算されます)。

2019-20シーズンの比率は0.8544で、チームのタックスレベル超える金額が、税金を計算する前に14.56%減額されることになります。

例えば、リピーターではないチームがタックスレベルを10M上回っていた場合は、8.544M上回っているとみなされます。したがって、このチームは16.25Mではなく13.7Mのタックスを支払うことになります。

以下は、各シーズンのタックスレベル、そのシーズンのCOVID-19による調整額、そしてタックスを支払ったチームです。

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金銭的なペナルティに加えて、タックスチームには様々な制限が課せられており、それについては質問番号20で説明しています。

タックスがどこに行くのかついては、質問番号19で説明しています。

 

*1:2020-21シーズンは交渉済みの金額を使用。NBAのチーム数(現在30チーム)で割る計算式は、リーグに参加してから2シーズン以内のエクスパンションチームをは無視する

*2:このような状況の選手が、無保証または部分保証で、1月10日(そのシーズンのすべての契約が保証される日)より前に解雇された場合、その選手のサラリーは3年目の選手のミニマムサラリーとして扱われ、その選手がロスターにいた日数で日割り計算される。例えば、レギュラーシーズンの3日目に解雇された場合、課税対象となるサラリーは3年目のミニマムサラリーの3/177となる

*3:あるチームにドラフトされ、ドラフトルーキーとして2way契約を結び、その後標準の契約に変換された場合(質問番号82を参照)も、このルールではドラフト指名選手とみなされ、タックスの分散を避けることができる