CBA FAQの翻訳をするブログ

CBA FAQをひたすら訳します

18.ラグジュアリータックスとは?何故存在するのですか?

ラグジュアリータックスは、チームの支出をコントロールするための仕組みです。

一般的には「ラグジュアリータックス」と呼ばれていますが、CBAでは単に「タックス」または「チームの支払い」と呼ばれています。

ラグジュアリータックスを支払うのは、高額の支出をするチーム、つまりチームサラリーがあらかじめ決められたタックスレベルを超えるチームです。

これらのチームは、チームサラリー(いくつかの例外を除く)がタックスレベルを超えるごとに、ペナルティを支払います。

タックスレベルはシーズン前に決定され、予想BRI(質問番号12を参照)の53.51%を使用し、予想される利益を差し引いて、リーグのチーム数で割って算出されます*1

タックスレベルは、前のシーズンに起こったことに基づいて調整することができます。

  • 前シーズン、リーグが選手に十分な報酬を支払っていなかった場合、つまり、保証をするために選手に追加の小切手を切らなければならなかった場合は、不足分をリーグのチーム数で割ったものをタックスレベルに加えます。
    例えば、2017-18シーズンの選手のサラリーが保証額よりも90M少なかった場合、2018-19シーズンのタックスレベルは3M上方修正されます。
  • 超過分があり(前シーズンに選手が保証分よりも多くエスクロー前に支払われていた場合)、リーグがエスクローシステムを通じて取り戻せる額を超えそうになっている場合は、ブレーキをかけるためにタックスレベル(およびサラリーキャップ)を引き下げることがあります(詳細は質問番号17を参照)。


チームは、レギュラーシーズン最終戦の時点でのチームサラリーと、そのチームが「リピーター」であるかどうか、つまり前の4シーズンのうち少なくとも3シーズン(直近のシーズンは含まない)でもタックスチームであったかどうかに基づいて、増額された税率を支払います。

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※以降5M増えるごとに税率は0.5M増える

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※以降5M増えるごとに税率は0.5M増える

 

例えば、以下のようになります。

  • タックスレベルを12M超えているチームは、21.25M(0M〜4.999999Mの区分の最大額が7.5M、5M〜9.999999Mの区分の最大額は8.75M、10M〜14.999999Mの区分は税率2.50Mで2M分なので5M、7.5+8.75+5)のタックスを支払います。

  • 前の4シーズンのうち3シーズンがタックスチームで、今シーズンのチームサラリーがタックスレベルを4M超えているチームは、10M(0M〜4.999999Mの区分は税率2.5Mで4M分で10M)のタックスを支払います。


リーグがチームのタックス額を決定する際には、レギュラーシーズン最終戦の日のチームサラリー(質問番号13を参照)を使用し(つまりシーズン終了前に選手がトレードで放出された場合は、そのサラリーは一切課税されない)、さらに以下の調整を行います。

 

  • キャップホールドや例外条項は無視される
  • 実際に獲得した「アンライクリーボーナス」(質問番号74を参照)は、チームサラリーに追加される
  • 獲得できなかった「ライクリーボーナス」(質問番号74を参照)は、チームのサラリーから差し引かれる
  • レギュラーシーズンの最終試合より後にトレードで受け取った選手のトレードボーナス(質問番号99を参照)は、チームサラリーに追加される。この金額は日割りで計算されることもある(詳細は質問番号100を参照)
  • 苦情処理のための和解金はチームサラリーに加算される
  • 現行のCBAでフリーエージェント(ドラフト指名ではない)として契約した選手で、サラリーが3年目の選手のミニマムサラリーに満たない場合、実際の年俸の代わりに3年目の選手のミニマムサラリーが使用される*2*3
  • サラリーの一部がリーグから支払われているミニマムサラリーの選手(質問番号22を参照)については、チームから実際に支払われた金額(3年目の選手のミニマムサラリー)のみが課税される

COVID-19に関連する収益の減少により、2020-21シーズンのタックスレベルは2019-20シーズンと同額(132.627M)に設定されました。

2021-22シーズン以降は、毎シーズン3%〜10%の上昇が保証されています。

2019-20シーズンからは、チームサラリーがタックスレベルをどの程度上回っているか(つまり、どの程度のタックスを負担しているか)を判断する式が調整されました。

タックスレベルを超えたチームの支払いは、そのシーズンの収入減に応じて減額されます(そのシーズンの実際のBRIと、そのシーズンのサラリーキャップを作成するために必要となるBRIとの比率で計算されます)。

2019-20シーズンの比率は0.8544で、チームのタックスレベル超える金額が、税金を計算する前に14.56%減額されることになります。

例えば、リピーターではないチームがタックスレベルを10M上回っていた場合は、8.544M上回っているとみなされます。したがって、このチームは16.25Mではなく13.7Mのタックスを支払うことになります。

以下は、各シーズンのタックスレベル、そのシーズンのCOVID-19による調整額、そしてタックスを支払ったチームです。

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金銭的なペナルティに加えて、タックスチームには様々な制限が課せられており、それについては質問番号20で説明しています。

タックスがどこに行くのかついては、質問番号19で説明しています。

 

*1:2020-21シーズンは交渉済みの金額を使用。NBAのチーム数(現在30チーム)で割る計算式は、リーグに参加してから2シーズン以内のエクスパンションチームをは無視する

*2:このような状況の選手が、無保証または部分保証で、1月10日(そのシーズンのすべての契約が保証される日)より前に解雇された場合、その選手のサラリーは3年目の選手のミニマムサラリーとして扱われ、その選手がロスターにいた日数で日割り計算される。例えば、レギュラーシーズンの3日目に解雇された場合、課税対象となるサラリーは3年目のミニマムサラリーの3/177となる

*3:あるチームにドラフトされ、ドラフトルーキーとして2way契約を結び、その後標準の契約に変換された場合(質問番号82を参照)も、このルールではドラフト指名選手とみなされ、タックスの分散を避けることができる

17.エスクロー口座に十分なお金がない場合はどうなりますか?COVID-19によって2019−20シーズンに何が起こりましたか?その結果、将来のシーズンに向けてどのような変更が加えられましたか?

通常の状況下(COVID-19以前)では、プレーヤーがエスクローシステムによって給与の10%以上を失うことはありませんでした*1

シーズン終了後に数字を照合し、エスクロー基金がサラリーやベネフィットをプレーヤーの指定シェアまで戻すのに不十分であることが判明した場合、BRIの1%を財源とする補助ベネフィットプールから不足分を取り崩します(質問番号15を参照)。

補助ベネフィットプールをすべて使い切ってもサラリーが指定されたシェアまで下がらない場合は、選手は追加のお金を失うことなく、そのシーズンの指定シェア以上の収入を得ることができます。

 

しかし、このようなことが起こらないようにするためのシステムがあります。

過剰額、つまり前シーズン(エスクロー徴収前)に選手が保証額以上のサラリーを得ていて、リーグがエスクロー制度で取り戻せる金額を超えそうになった場合、次のシーズンにキャップと税金のレベルを下げて、ブレーキをかけることができます。

超過分が6%未満の場合は、何もしません。
6%以上9%未満の場合は、予想BRI(質問番号12を参照)の変更を検討します。

予想BRI が十分に高く、そのままで解決できる場合は何もしません。
予想BRIが十分ではない場合は、キャップとタックスレベルを下げます。

超過分が9%を超えれば、予測されるBRIに関係なく、(キャップとタックスレベルを下げて)ブレーキをかけます。

例えば、2019-20シーズンのサラリーの総額が4.686Bで、これにより351M(サラリーの総額の7.5%)の超過が発生し、2020-21シーズンの予想BRIが2019-20シーズンのBRIを9%上回る場合、2020-21シーズンのサラリーキャップを0.8M引き下げ、タックスレベルを1.07M引き下げます。

これらはすべて、COVID-19によって2019-20シーズンから変更されました。
CBAにはすでに、予期せぬ収入減に備えた対策が用意されていました。

Force Majeure(不可抗力)条項によると、戦争、テロ、疫病、自然災害、政府の行動などにより、CBAの下での履行が不可能または非現実的になり、結果的に試合を中止するような出来事があった場合、選手は中止された試合ごとに1試合分のサラリー(1/92.6)を失うことになります。

また、「不可抗力」条項では、選手会への60日前の通知をもってリーグがCBAを解除する権利が与えられています。

Revenue Decline(収入の減少)条項では、あるシーズンから次のシーズンにかけてBRIが大幅に減少し、その結果、選手が指定された取り分以上の収入を得ることになった場合、両者は補償のためのCBAの調整について誠意を持って交渉するとしています。

COVID-19の流行により、2019-20シーズンの多くが中止となり、中止となった試合や、チケット販売や売店などのアリーナベースの収入が失われることで、大幅な収入減となりました。
その結果、双方は今後の変更について以下のように合意しました。

2019-20シーズンにおいて、選手はエスクロー基金の全額(384M)と補助ベネフィットプール(97M)を失いました。

また、リーグはそのシーズンの5月15日からエスクローの源泉徴収を25%に引き上げました。

追加のエスクロー源泉徴収による141Mは、選手の指定シェアを51%に戻すのに十分でした。
ラグジュアリータックスも、収入減に比例して減額されました。

2020-21シーズンでは、サラリーキャップ、ラグジュアリータックスレベル、および関連するすべての例外条項とサラリースケールは、2019-20シーズンの金額のままとなりました。

リーグは72試合のスケジュールで行われます。

エスクローの源泉徴収は、新しい「10-and-Spread」システムを採用しています。

これは、通常の10%の源泉徴収に加えて、必要と予測される追加の源泉徴収を3年間にわたって行うものです。

2020-21年度の源泉徴収率は20%となっています。
ラグジュアリータックスは、収入減に比例して削減されます。

2021-22以降のシーズンは、可能な限り82試合制に戻します。
サラリーキャップとラグジュアリータックスレベルは、前シーズンと比べて最低3%、最高10%増加します。

10−and−Spreadのエスクローシステムは維持され、追加の源泉徴収額はシーズン開始前に決定され、20%を超えないようにします。

ラグジュアリータックスは、収入減に比例して引き続き減額されます。

 

*1:手続き上のミスや会計上のミスなど、エスクローエージェントに預けるべきお金が預かっていない場合は例外。このような不足分は、翌シーズンの選手の給与から差し引かれる

16.エスクローシステムはどのように機能しますか?

エスクロー制度は、選手の収入保証(質問番号15番を参照)と連動して、選手が受け取るリーグの収入の額をコントロールします。

 

エスクロー制度では、サラリーや福利厚生が選手のBRI保証分を超えないようにしています。

そのために、選手のサラリーの10%*1*2がサラリーから差し引かれ、エスクロー口座に入金されています。

各シーズンの終わりには、選手のBRI保証額と実際に支払われたサラリー・福利厚生の額を比較します。

もし過不足があった場合(選手がエスクロー前に保証額よりも多く支払われていた場合)、その過不足分がエスクロー口座からチームに返還されます。

その後、選手は残ったエスクロー資金を受け取ります。また、シーズン終了時にエスクロー資金が不足しており、超過額をカバーできないということも考えられます。

 

ここでは、エスクローのプロセスで起こりうることを説明するために、いくつかの例を挙げます。

例Aでは、超過額はありません。

例Bでは超過額がありますが、エスクローはサラリーを指定された割合まで減らすのに十分な額となっています。

例Cでは超過額があり、エスクローがそれをカバーするのに不十分です。

 

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※エスクロー残高全額に加えて、選手の収益保証を満たすための追加支払いがあります(質問番号15番を参照)。

例Aでは、サラリーやベネフィットが指定されたシェアよりも少ないため、エスクロー資金は必要ありません。

選手は、保証された取り分を満たすための補足的な支払いを受けるだけでなく、すべてを保持することができます。

例Bでは、エスクローシステムがサラリーを指定されたシェアまで下げることに成功し、選手は残ったお金を受け取ることができます。

例Cでは、エスクロー資金が十分ではなく、給料を指定された取り分まで下げることができません。選手には366Mの「債務」がありますが、エスクロー口座には280Mしか入っていません。

オーナーはエスクロー口座の残高をすべて受け取りますが、選手は追加でお金を払う必要はありません(この状況については、質問番号17を参照してください)。

 

以下は、各シーズンの実際の数字です。

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※選手の予備ベネフィットプールからの97M、COVID-19による追加のエスクロー源泉徴収額からの144Mを含む

質問番号19番では、エスクローマネーがチームにどのように分配されるかを説明しています。

*1:2way選手(質問番号82番を参照)の場合、エスクローによる源泉徴収の対象になるのは、その選手のNBAのサラリーのみで、Gリーグのサラリーは対象にならない

*2:2019−20シーズンはCOVID-19により、シーズンの途中でエスクローによる源泉徴収額が25%(特定の制限と上限あり)に引き上げられました。

また、2020−21シーズンからは、現CBAの残りの期間、エスクローによる源泉徴収額を20%に引き上げ、エスクローによる源泉徴収額の合計が不足する場合は、その後の2シーズンのエスクローによる源泉徴収額から捻出することを双方で合意した

15.選手は収益の何%を受け取りますか?

選手との契約は、選手と球団との間で個別に交渉され、各選手が個別に受け取ることのできる金額はいくつかの要因によって決定されます。

選手は、予想BRIの50%*1に、収益が予想を上回った(あるいは下回った)金額分の60.5%を加えた金額を受け取ることが保証されており、下限はBRIの49%、上限はBRIの51%となっています。

以下の表は、2017年のCBAで設定された2017-18シーズンから2023-24シーズンまでの各シーズンの予想BRIとその50%の金額です。

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(Bはビリオンドル、1B=1000Mです。)

例①
2017-18シーズンのBRIが5.418B(=収益が予想を100M上回る)だった場合

選手の取り分は2.7195B保証されます

その内訳は以下の通りです。

  • 5.318Bの50%である2.659Bに、実際のBRI(5.418B)が予想(5.318B)を上回った額(100M)の60.5%に相当する60.5Mを加える

例②
2017−18シーズンのBRIが4.8B(=収益が予想を518M下回る)だった場合

選手の取り分は2.352B保証されます。

その内訳は以下の通りです。

  • 5.318Bの50%である2.659Bから、実際のBRI(4.8B)が予想(5.318B)を下回った額(518M)の60.5%に相当する313.39Mを引く
  • 上記の計算では2.346Bという数字が求められるが、これは下限であるBRIの49%を下回っているため、最終的にはBRIの49%である2.352Bとなる。

以下の表は各シーズンの実際の数値です。 

 

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個々のサラリーはシーズン開始前(多くの場合は数年前)に交渉され、BRIはシーズンが終了するまで決定されないため、サラリーが目標を下回った場合に調整する仕組みがあります。

 

選手が受け取るBRIが保証額を下回った場合、リーグはその差額を選手会に小切手で支払い、その金額が選手に分配されます(2011年のCBAでは、2014-15、2015-16、2016-17シーズンにこの現象が起きています)。

 

エスクローシステムは、選手が保証された分以上の収入を得た場合、選手のサラリーを調整します(質問番号16を参照)。

 

追加のベネフィットプールは、選手の取り分から出るBRIの1%によって賄われています。

このプールは、権利が確定した選手の様々な福利厚生や年金のために使用されます。

エスクローに超過額(質問番号16を参照)があり、エスクローの資金がサラリーや福利厚生を選手の指定された取り分まで下げるのに十分でない場合は、このプールから残りの部分を取り出します。

 

2019-20シーズンはCOVID-19の影響で大幅に収入が減少しました。

その結果、大幅な調整ではなく微調整のために設計されたエスクロー制度では不十分だったため、リーグはベネフィットプールにあった97Mも使用しました。

また、リーグと選手会は、エスクローの大幅な増額を実施しました。

これらの措置を組み合わせることで、サラリーや福利厚生を選手の指定の負担額まで下げることができました。

 

*1:CBAの全てのシーズンの予想BRIはCBAの交渉時に決定された。予想BRIは前シーズンの財務実績に基づき毎年6月に算出されるもの(質問番号12番を参照)とは異なる

14.各チームがサラリーに費やす最低額はありますか?

ミニマムチームサラリーがありますが、キャリア終了レベルの怪我や病気をした選手のサラリー(質問番号61番を参照)は含み、キャップホールドはすべて除外します。

チームサラリーは、チームのレギュラーシーズン最終試合の日にサラリーキャップの90%以上でなければなりません。

 

  • 2017-18:89,183,700M(ブルズ3.4M、マーベリックス3.3M満たず)
  • 2018-19:91,682,100M
  • 2019-20:98,226,000M
  • 2020-21:98,226,000M

 

ミニマムチームサラリーの計算では、トレードやウェイバーでチームを変えた選手のサラリーはその選手がプレーしたチームで分けられます。


例えば、10Mの選手がシーズンのちょうど60%の時点でトレードされた場合、元のチームはミニマムチームサラリーの計算上はその選手のサラリーのうち6Mをカウントし、新しいチームは最低チームサラリーの計算上はその選手のサラリーのうち4Mをカウントします。


インターナショナルバイアウト(質問番号77番を参照)の結果としてチームサラリーに含まれるサラリーは、ミニマムチームサラリーの計算上はチームサラリーから除外されます。


チームサラリーがミニマムを下回るチームはその不足分のお金を支払う必要があり、そのお金はそのチームの選手に分配されます。どのように分配されるかは選手会が決定します。

最近では41試合以上出場した選手には全額、20〜40試合出場した選手には半額が分配されています。

ただし、不足分の支払いの結果マックスサラリーを超えるような金額を受け取ることはできません。

 

13.チームの総サラリーを計算する時には何が含まれますか?キャップルームとは?キャップホールドとは?

チームのキャップルーム(CBAでは単に「ルーム」と呼んでいる)とは、選手とフリーエージェント契約を結ぶことができる余地を指します。


チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合、選手との契約には例外条項を用いる必要があります。


チームサラリーがサラリーキャップを下回っている場合は、そのチームのルームはすべての選手のサラリーとキャップホールドを含めた上での空きということになります。


キャップホールドとは、契約することが予想される選手の分の「プレースホルダー」のことです。


例えば、あるチームは指名後まだ契約していない1巡目指名選手と契約することが予想されるため、キャップホールドという形でその契約のための金額を確保しておく必要があります。


例えばサラリーキャップを10M下回っているチームに、4Mのキャップホールドがある場合は6Mのルームがあるということになります。


サラリーキャップを5M下回っていて6Mのキャップホールドを持っているチームは、全くキャップが足りないとはみなされず、例外的に選手と契約しなければなりません。


以下がチームサラリーに含まれるものです。

  • 現役および非現役の全選手のサラリー*1(ボーナスを含む)。

  • シーズン途中のトレードで獲得した選手のフルシーズンのサラリー。

  • ウェイブされたプレーヤーに支払われた、または支払うサラリーからセットオフ*2の分を差し引いた金額と、ストレッチ条項(質問番号65番を参照)によって分割された金額。

  • 引退したプレーヤーに支払われているサラリー(質問番号61番を参照)。

  • 特定の苦情処理に関連して支払われる、または支払われることが予想される金額のキャップホールド。

  • 合意はしているが、まだ実行されていない契約(口頭での合意や身体検査中の合意など)のサラリーのキャップホールド*3

  • リナウンスされていない全てのフリーエージェント(質問番号37番を参照)の以前のサラリーの一定の倍率のキャップホールド。

  • 制限付きフリーエージェントへのオファーシートで提示されたサラリーのキャップホールド(質問番号42番を参照)。

  • 未契約のドラフト1巡目指名権の「スケール」の120%の金額のキャップホールド(質問番号50番を参照)。
    このホールドは、ドラフトで指名された直後からチームサラリーに含まれる*4
    このホールドは、シーズンが始まる前にチームと当該選手がそのシーズン中に契約しないことを書面で合意した場合、そのシーズンのチームサラリーから除外することができる。

  • チームの選手数(契約中の選手、チームサラリーに含まれるフリーエージェント、オファーシートを受けた選手、ドラフト1巡目指名選手)が12人に満たない場合、「ロスターチャージ」と呼ばれるキャップホールドが発生する*5
    ロスターチャージは12人に満たない人数分、ルーキーのミニマムサラリーが計上される。
    例えば、チームサラリーに含まれる選手が11人の場合は、ルーキーのミニマムサラリー1人分がチームサラリーに計上され*6、ロスターが0人の場合は、ルーキーのミニマムサラリーの12人分がチームサラリーに計上される。
    このホールドはオフシーズン中にのみ適用される。

  • チームサラリーがサラリーキャップを下回っている場合、チームが使用できるミッドレベル例外、バイアニュアル例外、Disabled Player例外(質問番号25番を参照)、トレード例外(質問番号87番を参照)の合計額のキャップホールド(質問番号26番を参照)。(チームはこれらの例外を放棄することができ、その場合はチームサラリーに含まれなくなる)。

  • 完了した契約(10日契約など)のサラリーは、そのシーズンのサラリーキャップの残りの期間(6月30日まで)のチーム給与に含まれる。

 

エプロン(質問番号20番を参照)時のチームサラリーの決定には、少し異なる計算方法を用います。


エプロンは、バイアニュアル例外、ノンタックスペイヤーミッドレベル例外、タックスペイヤーミッドレベル例外(質問番号25番を参照)、サインアンドトレード(質問番号92番を参照)のいずれかを行った場合に適用されます。


エプロンの際のチームサラリーは基本的に上記で定義されたチームサラリーを使用しますが、以下のような修正が加えられます。

  • 現在のCBAに基づいて締結された契約および延長における、全てのアンライクリーボーナス。

  • 特定の苦情処理の結果、チームサラリーに含まれる可能性のある金額。

  • フリーエージェント(ドラフト指名選手ではない)として契約したルーキーや2年目の選手で、サラリーが3年目の選手のミニマムサラリーを下回っている場合、実際のサラリーの代わりに3年目の選手のミニマムサラリーが使われます。

  • 自チームの制限付きフリーエージェントについては、未契約のクオリファイング・オファーまたは他チームからのオファーシートのサラリー(マッチする可能性がある場合、どちらもアンライクリーボーナスを含む)のうち、大きい方の金額を含む。

  • チームのドラフト指名選手との契約に必要な金額が含まれる(1巡目指名選手はルーキースケールサラリーの80%、2巡目指名選手はルーキーミニマムサラリー)。

  • ロスターの空いている枠(12人以下)に対するキャップホールドの金額*7

  • フリーエージェントのキャップホールドは除く。

  • ドラフト1巡目指名選手のキャップホールドは除く。

  • 未使用の例外に対するキャップホールドは除外される。

 

上記の内容は、バイアニュアル等例外やサイン&トレードがチームがハードキャップの対象となるかどうかに影響するからであり(質問番号20番を参照)、チームサラリーの計算を修正することで、対象のチームが必ずエプロンを下回るようにするためです。

 

以下のものはチームサラリーに含まれません。

  • シーズン途中のトレードで放出した選手のフルシーズンのサラリー。

  • 長期にわたる、あるいはキャリア終了レベルの怪我や病気で選手のサラリー(質問番号61番を参照)。

  • チームに所属する2way契約選手の給与(質問番号82番を参照)。

  • 未契約のドラフト1巡目指名選手が、NBA以外のチームと契約した場合の「スケール」サラリー。
    ルーキースケールは、NBAではないリーグと契約を結んだ日か、レギュラーシーズンの初日のどちらか遅い方にチームサラリーから除外される。
    翌年の7月1日か、または彼のNBA以外のチームとの契約が終了したときのどちらか早い方にスケールはチームサラリーに戻る。
    つまりこれらのキャップホールドは、レギュラーシーズン中に他のリーグでプレーする選手分のみ除外される。
    また、チームと選手の双方がそのシーズンにNBAチームと契約を結ばないことを書面で合意した場合、スケールはチームサラリーから除外される。

  • 2017年CBAより前のCBAのルーキースケール契約については、ルーキースケールサラリーを2017年CBAに合わせるための「適合増額」(質問番号47番を参照)の金額(適合増額の金額は、増額前の金額が現在のミニマムサラリーを下回る場合を除き、チームサラリーには現在のミニマムサラリーが適用される)。

  • サマー契約によるサラリー(質問番号70番を参照)。

  • エクスパンションドラフト(質問番号114番を参照)で指名され、シーズン開始前にエクスパンションチームによって解雇された選手のサラリー。

  • セットオフにより選手に支払われなかったサラリー(質問番号65番を参照)。

  • 特定の理由でリーグから出場停止処分を受けたプレーヤーに支払われなかったサラリーの50%は除外される。
    例えば10Mの選手が、シーズンのちょうど半分の期間リーグから出場停止処分を受けた場合5Mの損失となり、この50%である2.5Mは、エスクローやラグジュアリータックスを含む特定の計算から除外される。
    この時、他の選手との契約に使用できる新たなキャップルームが生まれることはない。

  • エグジビット10契約に含まれるボーナス(質問番号83番を参照)。

 

*1:NBAキャリア4年目以降で、ミニマムサラリーでの1年契約、10日契約、Rest-of-Season契約の選手については、実際のサラリーの代わりに、3年目のベテランのミニマムサラリーを使用する(質問番号22番を参照)。

*2:セットオフの金額はレギュラーシーズン終了後までチームサラリーから引かれないが、レギュラーシーズン最終日の分のサラリーから引かれる

*3:ジュライモラトリアムの期間中(質問番号105番を参照)、チームはほとんどのフリーエージェントと口頭または書面で契約を結ぶことはできない。
したがって、モラトリアム期間中に締結された契約は、交渉中という扱いになり、チームのサラリーにはカウントされない。

*4:スケールサラリーは、ドラフト指名が行われてすぐにチームサラリーに計上されるが、ルーキースケール契約を結ぶことができるシーズンのチームサラリーに計上される(例:2018年の指名選手なら、2018-19シーズンのサラリーには計上されるが2017-18シーズンのサラリーには計上されない)。

*5:複数年契約中の2way契約の選手はカウントされないが、2way契約を終えたフリーエージェントはカウントされる。

*6:チームは最低でも13人の選手をロスターに在籍させる必要があるため、ロスターチャージによって13人の選手と契約するためのキャップスペースが確保できる。例えば、11人の選手を登録しているチームは、13人目の選手と契約する余地を残しながら12人目の選手と契約することができる。

*7:ロスターチャージはエプロンの際にも含まれるが、エプロンの際計算しないキャップホールドの分は追加されない(例:契約下にある選手9人、フリーエージェントのキャップホールドが2人分、ロスターチャージが1つという場合にはロスターチャージは1つ)

12.サラリーキャップは毎年どのように設定されていますか?

サラリーキャップは、次のシーズンのバスケットボール関連収入(BRI)と収益の予測額に基づいて算出されます。

予想BRIは、リーグと選手会の間の交渉で決定します。
毎年、両者はその金額について合意をするためにミーティングを開きます。

前シーズン終了時(6月30日)までに合意できない場合は、代わりに国内放映権の設定額(事前に決定される)に、前シーズンのBRI(国内放映権以外)の104.5%を足した数値を使用します。

サラリーキャップの計算は、予想BRIの44.74%を取り、予想される収益を差し引いて、リーグのチーム数で割ります*1

そして、その結果に対して次のような調整を行います。

  • 前シーズンにリーグが選手に十分な報酬を支払っていなかった場合、つまり、保証をするために選手に追加で払わなければならなかった場合、不足分をリーグのチーム数で割ったものをキャップに加えます。
    例えば、2015-16年には130.9Mの不足があったため、2016-17シーズンのサラリーキャップには4.36Mが追加されました。
  • 前シーズンに選手が保証された取り分よりも多く(エスクロー前に)支払われていて、リーグがエスクロー制度で取り戻せる額を超えそうになっている場合は、ブレーキをかけるためにキャップ(およびタックスライン)を下げることがあります(詳しくは質問番号17番を参照)。

2017年のCBAでの各シーズンのサラリーキャップ額は以下の通りです。

2017-18:99.093M

2018-19:101.869M

2019-20:109.140M

2020-21:109.140M*2

 

サラリーキャップは毎年7月1日、ジュライ・モラトリアム(質問番号105番参照)の開始時に調整されます。

 

 

*1:NBAのチーム数(現在30チーム)で割った計算には、リーグに参加して2シーズン以内のエクスパンションチームは含まない

*2:COVID-19により2020-21シーズンのサラリーキャップは2019-20シーズンの109.140Mに設定され、計算式は使用されなかった。またリーグと選手会は現行CBAの残りの期間、サラリーキャップを毎シーズン最低3%、最高10%上昇させることで合意した。